伊勢神宮は何故有名なのか

「伊勢神宮の歴史が知りたい」
「天照大御神って誰?」
「神社本庁について詳しく知りたい」

日本には約8万8千社ほどの神社があるとされていますが、神社と一口に言っても名称の最後に付く社号には「神宮」「宮」「大神宮」「大社」「神社」「社」の6種類があります。
これらの社号は神社の規模や格式によって付けられているのですが、6種類の中で最も格式が高いのが「神宮」です。
神宮は、天皇とゆかりがある由緒ある神社に付けられる社号です。
神宮という社号が付けられた神社は全国に24社ありますが、単に「神宮」とだけ言う場合は伊勢神宮のことを指します。

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伊勢神宮とは

伊勢神宮というのはそもそも通称で、神宮が正式名称となっています。
伊勢神宮は、日本最高位に位置付けられる神社で、昔から「一生に一度のお伊勢参り」と言われるほど特別視されていますが、日本最高位の神社に位置付けられているのは「天照大御神(あまてらすおおみかみ)」が祀られているためです。
日本神話には様々な神様が登場しますが、最も尊いとされているのが皇室の祖先ともされている天照大御神です。
天照大御神は、太陽・光・秩序などを象徴する神様で、日本国民の総氏神様に位置付けられています。
この天照大御神が祀られた神社は神明神社(しんめいじんじゃ)と呼ばれており、全国に約5千社ほど存在するとされていますが、その総本社が皇大神宮(こうたいじんぐう)と呼ばれる伊勢神宮の内宮です。
皇大神宮には、天皇が皇位のしるしとして代々伝えた三種の神器(八咫鏡(やたのかがみ)、草薙剣(くさなぎのつるぎ)、八坂瓊曲玉(やさかにのまがたま))のうち八咫鏡が奉安されているのですが、この八咫鏡は天照大御神の依り代になっています。

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天照大御神はもともと代々天皇の近くに鎮座していた

また、天照大御神はもともと代々天皇の近くに鎮座していましたが、第10代天皇の崇神天皇が宮中外に祀ることを決意したことから、現在の奈良県桜井市に位置した大和の笠縫邑へと移動します。
その後、第11代垂仁天皇の皇女である倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大御神を祀るのに相応しい場所を求め、伊賀・近江・美濃など全国各地を巡りました。
その結果辿り着いたのが伊勢で、日本書紀によれば倭姫命は天照大御神により「伊勢の国は都から離れているものの美しい国。この国にいたい」というお告げを受けたとされています。
倭姫命は、そのお告げに従って五十鈴川の川上に宮を建てたとされており、これが現在の伊勢神宮になりました。

お伊勢参りが庶民の間に広がったのは江戸時代に入ってから

以上が伊勢神宮の簡単な歴史と日本最高位の神社とされる所以なのですが、お伊勢参りが庶民の間に広がったのは江戸時代に入ってからのことです。
江戸時代には、多い年には年間で500万人以上の人々が訪れたとされていますが、当時の日本の人口は約3千万人だったため、約6人に1人はお伊勢参りを行ったことになります。
これほどまで多くの庶民がお伊勢参りを行った背景には、東海道などの五街道が整備されて移動の利便性が向上したことに加えて、御師と呼ばれる神職たちが全国各地で行った参宮の勧誘があったそうです。

お伊勢参りの手順

お伊勢参りは現代でも健在で、近年はパワースポットとしても人気を集めていますが、参拝する際は外宮から内宮の順にお参りするのが習わしとなっています。
さらに、外宮と内宮にはそれぞれ別宮もありますが、参拝する際はまず御正宮でお参りを行って、その後に別宮を回るのが正式な順序です。
そのため、それぞれの別宮も回る際は、外宮の御正宮・外宮の別宮・内宮の御正宮・内宮の別宮の順番で回るのが正式な参拝となります。
また、神域に入る際は外宮・内宮とも橋を渡るのですが、橋の真ん中は神様の通り道なので必ず端を通らなければなりません。
加えて、神域に入る際は手水舎で手と口を洗い清めるとともに、鳥居の前まで辿り着いたら立ち止まって一礼してから鳥居をくぐりましょう。
鳥居をくぐると参道に入っていきますが、外宮の参道は左側通行、内宮の参道は右側通行となっており、外宮と内宮で通行のルールが異なるので注意が必要です。
なお、内宮では手水舎で手水を行うのも良いですが、少し奥に行くと五十鈴川の御手洗場があるので、川の水で清めるのもおすすめです。
また、いよいよ参拝する際は「二拝・二拍手・一拝(最敬礼を二回行い、手を二度打ち、最敬礼を一度行う)」で行うのが正式な参拝方法となります。
ちなみに、神宮には「紙幣禁断」という習わしがあり、長い間個人のお願いはできず、天皇陛下以外のお供えは許されていませんでした。
そのため、現在も外宮・内宮とも賽銭箱はありません。

まとめ

お宮参りは、本来日々の感謝を伝えるために行くものであって、個人の願い事のために行うものではないため、お賽銭などは現在でも行うべきではないとされています。
また、お宮参りを行う日が吉日という考えから、おみくじも設置されていません。
なお、個人的なお願い事をしたい場合は、外宮の第一別宮である「多賀宮」、内宮の第一別宮である「荒祭宮」で行うようにしましょう。
多賀宮も荒祭宮も御正宮から離れてはいないため、時間に余裕がある際は是非訪れてみてください。